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CDNの導入方法を徹底解説!設定から配信までのステップとメリット、事例紹介
CDNとは、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(Content Delivery Network)の略称のことです。
CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)は、Webサイトの読み込み速度の向上、負荷分散、セキュリティ強化などのために広く利用されています。近年、多くの企業がCDN導入を検討していますが、「具体的な手順がわからない」「導入のメリットを知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、CDN導入方法をわかりやすく解説し、導入のメリットや実際の事例についても紹介します。
CDNの導入に不安を感じている方や、詳細な手順を知りたい方はぜひ参考にしてください。
CDNとは
CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)は、インターネット上のコンテンツを効率的に配信するためのネットワークシステムです。CDNは世界各地に分散したサーバーを使って、ユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを配信します。
これにより、読み込み速度が向上し、トラフィックの負荷が分散され、自社のWebページに読み込む画像や音声、動画、CSSやJavaScript等の外部ファイルなどの読み込み速度の向上・改善を目的に利用されています。
≫≫CDNとは?基礎知識や仕組みからメリットまで徹底解説
CDN導入のメリット
- 読み込み速度の向上:ユーザーに近いサーバーからコンテンツを配信することで、読み込み速度が劇的に向上します。
- 負荷分散:トラフィックを複数のサーバーに分散させることで、サーバーの負荷を軽減し、ダウンタイムを防ぎます。
- セキュリティ強化:DDoS攻撃やその他のサイバー攻撃からWebサイトを保護する機能があります。
- SEOの改善:読み込み速度の向上により、検索エンジンのランキングも向上する可能性があります。
CDN導入の手順
CDNを導入する際には、以下の手順で進める必要があります。
1. オリジンサーバーの設定
2. CDNベンダーの選定と契約
3. CDNの設定
4. DNSの設定
5. 動作確認と切り替え
それぞれの作業について解説していきます。
1.オリジンサーバーを設定する
「オリジン(Origin)」とは「起源」または「発端」といった意味の言葉です。オリジンサーバーとは、配信したいコンテンツが格納してあるWebサーバーのことを指します。
まず、CDNに配信させる元のコンテンツが配置されているサーバー、つまりオリジンサーバーを準備します。CDNは、このオリジンサーバーからコンテンツをキャッシュし、ユーザーに対してオリジンサーバーに代わってコンテンツ配信を行う仕組みです。
はじめに、このオリジンサーバーの設定を行います。CDNの管理画面からオリジンサーバーのアドレスを指定しましょう。
- サーバーの構成:オリジンサーバーには、ウェブサーバーソフト(Apache、Nginxなど)をインストールし、Webコンテンツ(HTML、CSS、JavaScript、画像、動画など)を配置します。
- セキュリティ設定:ファイアウォールやアクセス制限を設定し、オリジンサーバーをセキュアに保ちます。
- パフォーマンスの確認:サーバのパフォーマンスをテストし、ボトルネックがないか確認します。例えば、ページの読み込み速度やサーバーの応答時間を測定します。
2.CDNベンダーの選定と契約
次に、自社のニーズに合ったCDNベンダーを選定し、契約します。
- ベンダーの比較:各CDNベンダーの提供するサービス、価格、カバレッジ、パフォーマンス、サポートなどを比較検討します。主要なベンダーには、Cloudflare、Akamai、Amazon CloudFrontなどがあります。
- トライアル利用:多くのベンダーは無料トライアルを提供しているので、トライアルを利用してパフォーマンスや使い勝手を確認します。
- 契約とアカウント作成:選定したベンダーと契約し、アカウントを作成します。
CDNベンダーの選定には以下のブログを参考にしてください。
≫≫【比較】CDNベンダーのサービス一覧
3.CDNの設定
契約後、CDNの設定を行います。
- オリジンサーバー情報の登録:CDNベンダーの管理画面から、オリジンサーバーのURLやIPアドレスを登録します。
- キャッシュ設定:キャッシュの有効期限やキャッシュポリシーを設定します。どのコンテンツをどのくらいの期間キャッシュするかを決めます。
- 配信ルールの設定:特定のコンテンツに対して特別な配信ルールを設定することも可能です。例えば、動画コンテンツは特定のエッジサーバーからのみ配信するなどの設定です。
4.DNSの設定
DNS(Domain Name System)とは、ドメイン名とIPアドレスの対応関係を管理するシステムを指します。
CDNを利用するためには、ドメインのDNS設定を変更します。
ここでは、DNSサーバーの設定を進めていきます。
- CNAMEレコードの追加:CDNベンダーから提供されるCNAMEレコードを、自分のドメインのDNS設定に追加します。これにより、ドメイン名がCDNを経由するようになります。
- TTLの調整:DNSのTTL(Time To Live)値を短く設定することで、DNS設定変更の反映を早めます。
5.動作確認と切り替え
DNSの設定が完了したら、動作確認を行い、問題がなければ全トラフィックをCDNに切り替えます。切り替え作業を行う際には、CDN会社から発行された「CNAME」の設定が必要です。
CNAMEとは、CNAMEレコードとも呼ばれており、DNSで定義されているそのドメインについての情報の種類を指します。あるホスト名と別のホスト名をマッピングする役割があり、同じIPアドレスを持つ複数のホストを、それぞれ別の名前で定義できます。
CDNに導入しようとしているドメイン名が「redbox.ne.jp」などのAPEXドメインだった場合、CNAMEに設定できないケースがあるので注意しましょう。まずは、導入予定のドメイン名がAPEXドメインでないかを確認する必要があります。CNAMEレコードへの設定が完了すれば、切り替え作業は完了です。
- 動作確認:CDN経由でコンテンツが正しく配信されているかを確認します。ウェブブラウザのデベロッパーツールや、CDNベンダーが提供するモニタリングツールを使って、キャッシュヒット率やレスポンスタイムをチェックします。CMSなどを利用してWebサイトを構築している場合は、実際に投稿したり、サイトが正常に動作するかどうかを確認しましょう。仮に動作確認で不具合が見つかった場合、再度DNSの設定を変更する必要があります。
- パフォーマンスのテスト:読み込み速度やパフォーマンスの改善を確認します。これには、ウェブパフォーマンステストツール(例えば、Google PageSpeed InsightsやGTmetrix)を使用します。
- 全トラフィックの切り替え:動作確認に問題がなければ、全てのトラフィックをCDNに切り替えます。これにより、ユーザーのリクエストは全てCDN経由で処理されるようになります。
CDN導入のメリットと注意点
CDNを導入すれば、さまざまなメリットを得られますが、注意するべき点もあります。 CDNを利用する際のメリット・注意点は下記の通りです。
☑︎|CDN導入のメリット
☑︎|CDN導入時の注意点
CDN導入のメリット
CDNの代表的なメリットは、下記の3点です。
Webサイトのページ速度の改善
CDNを導入することで、画像や動画などのコンテンツを高速に配信できます。これにより、また、SEOの評価も向上する可能性があります。
本来、画像や動画は読み込み時間が長くなる傾向にありますが、画像や動画などをCDNのキャッシュサーバーに保持しておくことで、ページ読み込み速度が向上し、ユーザー体験が向上します。
また、 ページ速度が改善されるとユーザビリティが向上するため、不満や退会率の低下など、ビジネスに悪影響を与える可能性のある問題を回避することができます。
さらに、Webサイトのページ速度はSEOの評価に繋がる項目であるため、検索エンジンでの評価が向上し、より多くのユーザーがWebサイトを見つけやすくなります。
結果的にWebサイトの集客効果が向上する可能性があるため、Webサイトの運営者にとってもメリットとなります。
サーバーの負荷軽減
CDNを導入することでサーバーの負荷を分散することができるため、オリジンサーバーの負荷軽減にもつながります。そのため、Webサイトに訪れたユーザーは高速かつ安定したコンテンツ配信を受けることができます。
また、Webサイトの運営者にとってもサーバーの負荷軽減により、セキュリティも向上するため、サーバーの負荷によるトラブルを最小限に抑えることができ、Webサイトの信頼性が向上し、ビジネスの安定性を確保することができる可能性が高まります。
運用費用を抑えられる
オリジンサーバーを複数台導入すれば、ページ速度の改善やサーバーの負荷軽減なども実現できます。しかし、管理するべきサーバーの数が多くなるほど、設置費用や運用コストが多く発生します。
CDNは、オリジンサーバーの負担を軽減でき、運用費用を抑えられる点がメリットです。CDNの利用は費用が発生するケースが多いですが、サーバーを設置するコストや運用コストと比較すると安価になります。
CDN導入時の注意点
CDNを導入する際には以下の点に注意が必要です。
httpsサイトのリダイレクト
httpsサイトでは、httpでアクセスしてきたユーザーをhttpsにリダイレクトする設定を行います。CDNを導入すると、このリダイレクトが正しく機能しない場合があります。
これは、アクセスしてくるクライアントがhttpかhttpsかを正確に判断できなくなるためです。この問題は「X-forwarded-Proto」ヘッダーを使用して解決できます。CDNがこのヘッダーを送信するように設定し、リダイレクトルールを適切に設定しましょう。
SSL証明書の準備
CDNを利用する場合、ユーザーとCDN間での通信にはSSL証明書が必要です。CDN側に適切なSSL証明書を設定することで、データの安全性を確保します。
IPアドレスでのアクセス制限
オリジンサーバーで特定のIPアドレスからのアクセスを制限している場合、CDNプロバイダーのIPアドレスも許可するように設定を変更する必要があります。CDNが通知するクライアントのIPアドレスを確認し、制限設定を修正しましょう。
CDNの導入事例
この章では、CDNの導入事例を解説します。
☑︎|導入事例① SMエンターテイメント
☑︎|導入事例② 大韓眼科学会
☑︎|導入事例③ 景気創造経済革新センター
導入事例① SMエンターテイメント
SMエンターテインメントは、韓国ソウルに本社を置く芸能企画やレコードなどのエンターテイメント事業を運営する企業になります。
SMエンターテインメントは、オンプレミスサーバーやネットワーク、ストレージ、および関連システムなど、物理的なインフラストラクチャを利用して、国内外の観客に宣伝を行い、利益を生み出すためにデジタルチャンネルを積極的に活用していました。
しかしながら、K-POPスターたちの人気が急上昇したことで、トラフィック量が急増し、既存のインフラストラクチャでは追加の投資が必要とされる状況に陥りました。
SMエンターテインメントは、Amazon Web Services(AWS)を導入しダイナミックなインフラストラクチャを構築することで、ITインフラストラクチャは99.999%の可用性を維持し、安定したサービスを提供することができています。
SMエンターテイメントが抱えていた課題から解決までの詳細な流れは以下のページからご参照ください。
導入事例② 大韓眼科学会
大韓民国眼科学会は、専門の眼科医師や業界関係者たちから成る学術団体であり、眼科学の発展と向上を目的として様々な事業を進めています。
眼科検査を必要とする多くの患者を受け入れる大韓眼科学会では、読影システムを利用して読影を行う際に時間的な制限が発生していました。また、読影システムにアクセスするための物理的な制限も発生していました。
Amazon Web Services(AWS)を導入する事で、専門の眼科医師が読影システムにアクセスする際の時間や物理的な制限がなくなり、業務効率が向上させることができています。
大韓眼科学会の導入事例は以下のリンクからご参照ください。
導入事例③ 景気創造経済革新センター
京畿創造経済革新センターは、革新センターのグローバル展開支援業務を担当しており、IT/ゲーム/次世代通信などの特化産業分野のスタートアップやベンチャー企業、中小・中堅企業の育成を進めている企業です。
京畿創造経済革新センターでは、短期間でグローバル展開を支援するためにWebサイトを開設する必要があり、海外からの投資を誘致するためには、高速なアクセス速度を提供することが必須です。さらに、スタートアップやベンチャー企業のデータベースの蓄積には、能動的なストレージスペースが必要であるという課題がありました
Amazon Web Services(AWS)を導入したことで、 海外からでもスムーズにアクセスできるWebサイトを短期間で開設することができています。さらに、スタートアップやベンチャー企業のデータベースを構築して、Webサイト連携サービスの基盤を構築することもできています。
まとめ
今回は、CDNの導入方法やメリット、事例について解説しました。
CDNは、Webサイトのページ速度の改善やサーバーの負荷軽減など、Webサイトを運営している企業に多くのメリットをもたらします。
本記事で紹介した導入方法を参考にして、CDNの導入を進めてみてください。