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CDNサービスをシェア順で比較!市場や料金についても徹底解説
コロナ禍の影響で加速するデジタルシフトにともない、ひとつのコンテンツにおけるデータの容量は年々増加しています。
そこで活用されているのが「CDN」です。今後もネットビジネスではCDNが不可欠になってくるでしょう。しかし、導入を検討している企業やユーザ―で、CDNについてあまり詳しくないという人が多いのも事実。したがって、どのCDNを選べばよいのかと、活用方法もよくわからない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、CDNについて詳しく解説すると共に、国内シェアからみたおすすめのCDNを比較しながらご紹介していきます。
各CDNサービスについての紹介を掲載しているため、おおよそ10分ほどで読み終えることができます。
【比較前に】CDNサービスとは?
本記事の内容に入る前に、そもそもCDNサービスとは何かということについて、基本的な部分を解説していきます。
スマートフォンの普及に伴い、年代問わずインターネットを利用する人口は急増しています。さらに、動画配信などの容量が大きいコンテンツがサーバーの負荷を高め、Webサイトの表示速度の低下やコンテンツのダウンロード速度に影響を与えてしまうことがあります。そこで、ネットワークの負荷を軽減し、スムーズな情報配信を実現する為に作られた仕組みが「CDN」です。
CDNには、コンテンツを提供するオリジンサーバーがあります。オリジンサーバーとは、ユーザーからの最初のリクエストに応じてコンテンツを提供するサーバーを指します。
まずはオリジンサーバーからはできるだけ多くの情報を返しておき、CDNサーバーでキャッシュできるようにします。CDNのキャッシュするとは、コンテンツを分散させた複数のキャッシュサーバーにコピーすることを指します。
CDNサーバーでキャッシュされたコンテンツは、ユーザーからのリクエストに応じて最も近いサーバーから配信されます。オリジンサーバーから配信されるコンテンツをコピー(キャッシュ)してユーザーのリクエストに応えるため、オリジンサーバーの負荷を軽減することができ、コンテンツの配信速度が向上します。
ユーザーがCDNサーバーからコンテンツを取得し、CDNサーバーは、ユーザーからのリクエストに応じて最も近いサーバーからコンテンツを配信するため、ユーザーは高速かつ安定したコンテンツの配信を受けることができます。
CDNサービスを利用するメリット
現在、わたし達が日頃から利用しているWebコンテンツにおいて活用されていることからも分かるように、本サービスは欠かせない存在です。
それでは、実際にCDNサービスを導入することでのメリットは、どのような内容があるのでしょうか。ここからは、以下の3点に分けて、導入のメリットを解説していきます。
☑︎|Webページのパフォーマンスを改善
☑︎|サーバーの負担軽減
☑︎|セキュリティ対策
Webページのパフォーマンス改善(表示速度など)
CDNの仕組みにおいて、キャッシュサーバーを利用することでオリジンサーバーの負荷を軽減できるとお伝えしました。CDNを利用することで表示速度の改善やダウンロードにかかる時間を短縮できるなどユーザビリティの向上に直結します。
Webページ上の情報をクリックし、即座に次の画面が表示される時と、数秒の読み込み時間が発生する場合では、ユーザーの快適さは大きく異なってきます。
さらに、Webページ本来が目的としてるPVの減少や、商品などの売り込みへの影響もさけられません。加えて、表示時間の短い快適なWebページは、検索エンジンの表示順位にも影響を与えます。なぜなら、表示時間の速さがそのまま、優れたユーザー体験を提供していると判断されるからです。
このように、Webページのパフォーマンス向上は多くのメリットを含んでいるのです。
サーバーの負担軽減
CDNは、世界中に分散したキャッシュサーバーを利用して、コンテンツの配信を行うため、オリジンサーバーへのアクセス回数を減らし、負荷を分散することができます。
オリジンサーバーの負荷分散を行うことで、Webページの表示速度や、動画コンテンツなどの容量が大きいコンテンツのダウンロード速度に影響を与えるため、パフォーマンスが向上し、ユーザエクスペリエンスの向上につながります。
さらに、CDNサービスによって、サーバーの負担を軽減することで、ダウンタイムやサーバーの過負荷によるトラブルのリスクを低減することができます。
セキュリティ対策(DDoS攻撃など)
先程、サーバーを複数用意することで、サーバーの負荷を軽減させると解説しました。このことは、Webサービスを運用する上で、セキュリティ面でも大きなメリットを有します。なぜなら、悪意のあるユーザーがオリジナルの情報を攻撃しようとしても、コピー情報を持つサーバーが身代わりになるからです。
例えるなら、一つの宝石を守るために、コピーの宝石を複数の世界中に分散させるイメージです。これにより泥棒側は、本物の宝石を見つけるために膨大な労力と人員を用意する必要があるでしょう。
従来、サーバーを攻撃する手段としては「DDoS攻撃」と呼ばれるものが主流でした。オリジナル情報を保有するサーバーに対して大量のアクセスを集中させることで高い負荷をかけ、サーバーダウンを発生させる手法です。しかし、CDNによりサーバーが分散されることで、オリジナル情報を保有するサーバーへの攻撃は少ないものとなるのです。
CDNサービス5選を徹底比較【特徴・料金】
CDNの基本的な内容や、現在の状況を把握した上で、ここからはおすすめのCDNサービスを紹介していきます。
実は、このサービスは特定の1社が独占している訳ではなく、複数の企業が提供しています。そのため、各社によって特徴や料金体系が異なっています。しっかりと比較をおこなった上で、自社にとってベストな選択ができるよう確認してみてください。
☑︎|Cloudflare
☑︎|Amazon CloudFront
☑︎|Akamai
☑︎|Azure Content Delivery Network
☑︎|Cloud CDN
1.Cloudflare
「Cloudflare」は日本国内だけではなく、世界中でもNo.1のシェアを誇っており、CDNを利用しているユーザーの80%以上に選ばれています。
Cloudflareの特徴
Cloudflareのサーバーは世界中に配置されており、どのネット利用者に対しても等しい状況でサービスを提供することが可能です。
さらにサイト内にある画像のキャッシュ化により、表示スピードを高速化することにも対応しており、ユーザビリティを向上させ、結果的にCVRの改善に繋がる可能性があります。
セキュリティ対策も、WAF(Web Application Firewall)と呼ばれる機能が標準で装備されており、個人情報の漏えいはもちろん、DDoS攻撃への対策も行われています。
公式サイト:https://www.cloudflare.com/ja-jp/
Cloudflareの料金体系
料金体系は4つのプランに分かれており、各ユーザーの利用状況に合わせた選択が可能です。
■|無料で使用できるフリープラン
■|20ドル/月間のプロプラン
■|200ドル/月間のビジネスプラン
■|要見積もりのエンタープライズプラン
2.Amazon CloudFront
Amazon CloudFrontは大手通販サイトのAmazonが提供するCDNです。
Amazonの自社動画配信サービスである「Amazon Prime Video」はもちろん、大手動画配信サービスの「Hulu」でも使用されているなど、高い評価を得ています。
世界中のデータセンターから機能を共有しており、大企業から政府機関、一般のユーザーまで幅広い範囲において活躍しているサービスです。
Amazon CloudFrontの特徴
もっとも大きな特徴としてあげられるものは、以下の5つです。
■|高いレベルのセキュリティ
■|レスポンスが早い
■|可用性向上に効果が高い
■|サーバー負荷の軽減
■|従量課金制
Amazon CloudFrontの料金体系
Amazon CloudFrontはデータの転送料金に応じて課金される従量課金制を採用しています。料金は以下の要素に基づいて計算されます。
■|利用形態
■|地域
■|機能の選択
2022年11月から毎月1TBまでのデータ送信量であれば無料となっているため、CDNの導入を検討されている場合は、まずAmazon CloudFrontで試すことをオススメします。
公式サイト:https://aws.amazon.com/jp/cloudfront/
3.Akamai
日本国内で第3位のシェアを誇る「Akamai」は世界最大規模のコンテンツ配信ネットワークを有しています。
Akamaiの特徴
この規模の大きさが最も特徴であり、全世界130カ国以上に20万台を超えるサーバーにおいて、処理をおこなっています。本サービスを利用している大手で最も有名な企業として、「Windows Update」があげられます。
つまり、世界中のコンピューターの更新を支える影には、本サービスが存在しているのです。
Akamaiの料金体系
料金形態については、前述したAmazon CloudFront同様に従量課金制を採用しています。他にも、固定料金でのプランも用意しており、さまざまな用途での適切なプランニングが可能です。
公式サイト:https://www.akamai.com/ja
4.Azure Content Delivery Network
Azure Content Delivery Network(Azure CDN)は、Microsoft Azureが提供するクラウドベースのCDNサービスです。
Azure Content Delivery Networkの特徴
Azure CDNの特徴として、静的コンテンツだけでなく、動的なWebコンテンツの配信にも対応しており、Azureの他のクラウドサービスとのシームレスな連携が可能です。
主にAzure Storage、Azure Web Apps、Azure Media Services、Azure Functionsなどのサービスと連携して使用することができます。
Azure Content Delivery Networkの料金体系
Azure CDNでは、CDNを使用してコンテンツを配信する場合、配信されたデータ量に応じて料金が発生するデータ転送料金と、クライアントからのHTTP / HTTPSリクエストに応じて料金が発生するHTTP / HTTPS要求単価があります。
Azure CDNでは、料金が計算される地域によって異なる価格が設定されているため、公式Webサイトで地域によってかかる金額を確認しましょう。
公式サイト:https://azure.microsoft.com/ja-jp/
5.Cloud CDN
世界中において、さまざまなWebサービスを提供しているGoogleが運営するCDNです。
Cloud CDNの料金体系
その他Googleサービス同様の環境で提供されますので、通信スピードはもちろん、安全性も非常に高いレベルとなっています。Google Cloud には CDN の他にもAIによるビッグデータ分析といったツールが充実している点も、本サービスの大きな特徴と言えるでしょう。
しかしながら、現状では基本的に英語によるサービス提供が主となっており、日本語対応されていない部分が多くなっています。そのため日頃から運用する場合に、手間がかかることや最新情報を仕入れる際に不便と感じてしまうシーンがあるでしょう。
このことから、日本国内でのシェアはそこまで高くない結果となっています。しかし、言語の問題をクリアできるのであれば、その他サービスに引けをとらない素晴らしいものであることは間違いありません。
Cloud CDNの料金体系
料金形態は、月ごとのGCP(Google Cloud Platform)の従量制料金体系に従って転送料金の合計に基づいて計算されるデータ転送料金、クライアントからのリクエストに応じて料金が発生するリクエスト単価、キャッシュメモリの利用単価をもとに計算され、配信する地域によって金額が異なります。
公式サイト:https://cloud.google.com/cdn?hl=ja
≫≫【比較】CDNベンダーのサービス一覧|日本国内のCDN市場のシェア動向もご紹介
CDNサービスを導入する上での3つの選び方
CDNサービスを導入するうえで目的を明確にする必要があります。目的が明確になっている場合、自社に合うCDNサービスを選ぶことができるためです。
CDNサービスを導入する目的が決まれば以下3つのポイントを参考にして、CDNサービスを選定していきましょう。
☑︎|配信地域のカバー範囲
☑︎|CDNサービスの性能
☑︎|サポート体制
配信地域のカバー範囲
CDNサービスは、世界中にある複数のサーバーを利用して、コンテンツを配信します。各サービスそれぞれ世界各地に配信エッジノードを配置していますが、そのカバーできる地域は各社で異なります。
そのため、CDNサービスを導入する前に配信したい地域がカバーされているサービスを選択するようにしましょう。
CDNサービスの性能
CDNを導入することで得られるメリットとしては、高速で安定したコンテンツ配信を実現できることです。CDNサービスの性能は、各社それぞれ異なります。
そのため、各社のパフォーマンスデータを比較し、自社の目的達成に合ったCDNサービスを選びましょう。比較の指標としては、配信速度や遅延、可用性などの指標が重要です。
サポート体制
CDNサービスは、コンテンツ配信に不可欠なインフラストラクチャーです。もし、CDNサービスが故障した際の損失は計り知れません。
そのため、故障時の対応が迅速かつ正確である必要があります。導入前には、各社のサポート体制を確認しておきましょう。
問題発生時に適切な対応が受けられるかどうか、日本語でのサポートが必要である場合は、日本語対応があるのかなどサポート体制を確認した上で導入を行いましょう。
まとめ
CDNサービスについて基本的な仕組みからサービスを提供してる代表的な企業についても解説してきました。
本サービスを利用することには多くのメリットがある一方、事前に把握しておくべき注意点もいくつか存在しています。しかし、現在のWebページ運営にあたって、CDNは欠かせないものとなっていることは事実でしょう。
CDNを導入する際に、無料トライアルや無料枠を利用してからサービスを本格的に導入することをオススメします。CDNサービスの中でAmazon CloudFrontは常時無料枠を用意しています。まずは、この無料枠を利用してCDNの導入を検討していきましょう。
しかし、CDNサービスは導入するのに細かな設定が必要となってくるため、本格導入を行なっていく場合はサービス・プロバイダの構築サポートを受けるのも1つの手段です。
本記事が内容理解を深めるお役に立てますと幸いです。