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【比較】CDNベンダーのサービス一覧|日本国内のCDN市場のシェア動向もご紹介
CDNとは、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(Content Delivery Network)の略称であり、世界中に分散配置されたサーバーネットワークを利用して、ウェブサイトやアプリケーションのコンテンツ(画像や動画、HTML、JavaScriptなど)を高速に配信するための技術です。
高速に配信できる仕組みとしては、オリジンサーバーから配信されるコンテンツは、最初のリクエスト時にCDNサーバー上にキャッシュされ、その後のリクエストは、キャッシュから応答されるため、オリジンサーバーへのアクセスを回避し、高速な配信が可能となります。
CDNは、ウェブサイトやアプリケーションのコンテンツ配信において、高速で信頼性の高い配信環境を提供することができます。特に、グローバルな規模で配信する場合や、大量のコンテンツを配信する場合に有効です。
CDNはユーザビリティの向上に大きく直結する技術ではありますが、そもそも「どのCDNが良いのか」「CDNサービスの比較ポイントは何か」と考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、主要なCDNベンダーのサービスの特徴、サービス内容をまとめました。CDNを導入する前にそれぞれのサービスを比較し、検討材料にしてください。
【比較】CDNベンダーのサービス一覧
CDNと一言でいっても、CDNサービスを提供している企業は国内外問わず無数にあります。
ここでは、海外・国内で使える主要なCDNベンダーのサービス内容を紹介します。
☑︎|海外の主要CDNベンダー
☑︎|国内の主要CDNベンダー
海外の主要CDNベンダー
はじめに、海外の主要ベンダーのサービス内容から紹介していきます。
Akamai
特徴:Akamaiは、アメリカの大手ネットワーク事業者であり、CDN事業の先駆者的な位置づけであり知名度の高いサービスです。「akamai」 の意味はハワイ語で「知的な」「賢い」などを意味します。
Akamaiの特徴は「FreeFlow技術」と呼ばれる技術であり、分散配置されたキャッシュサーバーをネットワークで接続し、トラフィックの状況に応じて最適なサーバーを選択してコンテンツを配信する仕組みです。この処理を行うために、世界各地に約2万台のサーバーを保有しており、各サーバー間を10Gbpsという速度で結んでいます。
サービス内容:Akamaiでは、ファイルサイズ最適化やモニタリング機能、アラート機能などの豊富な機能を利用できます。表示速度・通信負荷テストといった機能も利用可能です。
料金:要問合せ(無料トライアルの利用可)
CloudFlare
特徴:CloudFlareは、Webサイトのパフォーマンス向上とセキュリティ対策を同時に実現できる点が特徴です。CloudFlareも、世界中にサーバーを配置しており、ユーザーと近い距離からWebサイトの高速化に寄与します。
サービス内容:CloudFlareの代表的な機能は、Webサイト とアプリケーションの高速化とゼロトラストサービスです。Webサイトのパフォーマンスを向上させつつ、近年多発している「DDoS攻撃」への対策・Webサイト上の不審な動きの監視も同時に行います。
料金:アプリケーションサービス→プランごとに料金が異なります。「Pro」が20ドル/月、「Business」が200ドル/月となっています。
ゼロトラストサービス→「従量課金プラン」は、1ユーザーあたり7ドル/月となっています。(それぞれ無料プランあり)
Fastly
特徴:Fastlyは、アメリカのクラウドコンピューティングサービスプロバイダです。Fastlyの特徴は、オープンソースである「Varnish」を利用しており、一時的に中間の場所にコピーを自動保存することで、コンテンツの送信を高速化します。
サービス内容:「Instant Purge」と呼ばれるコンテンツをどのタイミングで更新するかを適切に制御する機能を搭載しています。「Instant Purge」は他のCDNサービスよりも Purge にかかる時間が速く、迅速にキャッシュを削除&オリジンサーバーからのデータの再キャッシュができます。
CDNは最初のリクエストをサーバー上にキャッシュして、その後のリクエストはキャッシュから応答するため、サーバーに負荷をかけずに高速化を実現できるメリットがありますが、一方でキャッシュされた古いコンテンツが表示されてしまうと、最新の情報を提供することができず、ユーザーに不便を強いることになります。
しかし、「Instant Purge」を使用することで、キャッシュされたコンテンツを即座に削除することができるため、最新情報を素早く反映することができるというメリットがあります。
料金:0~10TBまでは、月額23.46円/GB(税込)となっています。従量課金がベースとなっており、HTTP/HTTPSリクエストの数ごとに追加料金が掛かる仕組みです。
Amazon CloudFront
特徴:Amazon CloudFrontは、AWS(Amazon Web Services)が提供しているCDNサービスです。他のAWSサービスと連携・統合することで、スムーズな運用と円滑なページ読み込みを実現しています。
サービス内容:Amazon CloudFrontでは「AWS Shield Standard」と呼ばれる機能を搭載しています。ネットワークとアプリケーションの両方を保護することで、高いセキュリティレベルを実現しています
料金:データ転送機能の基本料金は、月額0.085ドル(10TBまで)です。ただし、住んでいる国・地域によって料金は変動します。
≫≫ Amazon CloudFrontとは?機能や連携ができるAWSサービスをご紹介
Azure CDN
特徴:Azure CDNとは、Microsoft Azureが提供しているサービスです。Microsoft とVerizon /、Akamaiの3社のCDNプロバイダー によって構成されています。
サービス内容:Azure CDNでは、「DSA」と呼ばれるキャッシュに頼らないWeb配信の高速化機能を搭載しています。DSAを利用すれば、ルーティングや画像圧縮などの最適化を行った上で、動的サイトのパフォーマンスを向上できます。
料金:従量課金制
Google Cloud CDN
特徴:Google Cloud CDNは、Googleのネットワークを使用したサービスです。ユーザーの近くからコンテンツを配信します。レイテンシの短縮やコスト削減、サーバーの負荷軽減を実現します。
サービス内容:Cloud CDN では、オンプレミス・クラウド問わず、Googleの高パフォーマンスな分散型インフラストラクチャを介してコンテンツ配信を行います。
料金:(アジア太平洋の地域の場合)10TBまでは$0.09となっています。
国内の主要CDNベンダー
ここからは、国内の主要CDNベンダーを紹介していきます。
J-Stream
特徴:J-Streamは、CDNだけではなく動画制作や配信・運用など幅広く対応しているサービスです。 日本人の専任スタッフによるサポートもあり、安心して利用できるインフラ環境を提供しています。
サービス内容:「J-Stream CDNext」と呼ばれる国産CDNサービスが魅力です。配信の規模・内容に応じて、柔軟に配信制御できる管理コンソールをお手頃な価格で提供します。
料金:J-Stream CDNextの「従量プラン」の場合、初期費用は¥50,000、月額費用が1GByte=5円です。
ACCELIA
特徴:ACCELIA(アクセリア)は、自社開発CDNを20年以上に渡って運用してきたノウハウを駆使し、CDNの導入支援や設定代行、サポートなどを行っているのが特徴です。
サービス内容:ACCELIAは、日本人エンジニアによる充実したサポートが魅力です。専門のセキュリティエンジニアによるインシデント管理によって、高いセキュリティレベルの下で運用できるメリットがあります。
料金:「Brokering CDN」の場合、月額3万円〜となっています。
IIJ GIOコンテンツアクセラレーションサービス
特徴:IJ GIOコンテンツアクセラレーションサービスは、IIJバックボーン上の配信設備にWebコンテンツをキャッシュし、高速配信を実現するCDNサービスです。
サービス内容:国内最大規模のIIJバックボーンでコンテンツ配信を行います。どの配信先に対しても、低遅延で快適なWebアクセスが可能です。
料金:初期費用は掛からず、15円/GBの転送量課金のみ発生します。
So-netソリューションサービス
特徴:So-netソリューションサービスは、自社の目的に合わせてプラン・オプションを選択するタイプのCDNサービスです。「サーバータイプ・仕様」や「サーバー・ディスク機能」「ネットワーク機能」など、豊富なオプションが特徴です。
サービス内容:自社の予算に合わせた料金プランを選択でき、必要なサービスのみ利用できます。
料金:サーバー(共有)タイプ・適用OS【Type-e】の「e-mini」を選択した場合、月額2,210円となっています。
IDCFクラウド CDN
特徴:IDCFクラウド CDNは、大規模なトラフィックに対応しており、急激なアクセスの増加にも対応できるように設計されています。また、スケーラブルな設計によって、需要に応じてシステムの規模を拡張することが特徴としてあげられます。
これにより、企業の成長に合わせてシステムを拡大することが可能となります。
料金:基本的には、利用したトラフィック量に応じて課金されます。
日本国内エッジロケーション利用の場合、月間利用トラフィックが1GB未満: 無料、1GB以上〜10TB未満: 20円/GB、10TB以上〜100TB未満: 15円/GB、100TB以上: 10円/GBとなっています。
日本国内のCDN市場のシェア動向
CDNサービスを提供している企業が複数あるということは、その中でもシェアの占有率が変動していることが考えられます。一般的に、シェアが高いサービスは品質も高いと考えられることから、より盤石な提供体制を整えやすくなります。
それでは、日本国内におけるCDNサービスシェアはどのようになっているのでしょうか。
CDNの国内シェア
「日本のCDNシェアについて調査結果@2022年6月」によると、日本語サイトのCDNシェア・JPドメインサイトのCDNシェアで最も多かったのが、「Cloudflare」となりました。次いで多いのが「Amazon CloudFront」、次に多いのが「Akamai」です。
過去6.5年間のJPドメインサイトのCDNユーザ数推移(全体)のグラフでは、2021年頃から「Cloudflare」のユーザー数が急増したことが分かりました。
日本国内では、インターネット利用者数が非常に多く、CDNがますます重要になっているため、今後も市場の拡大が予想されます。
まとめ
今回は、主要なCDNベンダーのサービスの特徴、サービス内容を紹介しました。CDNのサービスは、国内だけではなく、海外にも多く存在します。
CDNを導入する際には、本記事で紹介したそれぞれのサービスを比較し、どのサービスを導入するかを検討してみてください。